日本には通称「座敷牢」というものがあり、精神病と見られる症状を呈した者は家族によって養われていました。少なくとも第二次大戦前には実在していたものです。正式名称は「私宅監置」と言います。


当時としては向精神薬もなく、治しようがないため、社会防衛的な観点から、「基本的には入院させるんだけど、入院させ続けるのは結構な負担になるため、自宅に収容しておくように」ということで行われていた制度です。

また、昔の禅寺には精神病院機能があり、不潔恐怖(強迫性障害)に対する一種のショック療法が行われていたそうです。ですので、精神を鍛える以外に、精神病者の隔離や、精神病者自身が治療目的で来ていたこともあるようですね。

いずれも性能のいい向精神薬の開発により、制度自体は消えていきましたし、禅寺も純粋な修業施設になっていきましたが、いわゆる「臭いものに蓋をする」的な考え方は、依然なくなってはいないでしょう。

悪事や醜聞などを、他に漏れないように一時しのぎに隠そうとする風習が残っている限り、今もなお低体温や線維筋痛症も「なかったことにされやすい」といえるのではないでしょうか。

よく聞くのは「昔は今みたいな病気はなかった」という話ですが、正確には「昔はなかった」のではなく「昔はなかったことにされていた」と言い換えるのが正解でしょう。

いずれにせよ、問題をなかったことにしたままではいずれ世の中は破綻していくでしょう。そうなる前に問題と向き合うことが我々には求められているのではないでしょうか。